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公平さを欠く沿岸漁業者へのクロマグロ漁獲枠配分 [マグロ]

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【スーパーで廉価に出回るまき網により漁獲されたクロマグロ。】

 この時期、まき網で水揚げされたクロマグロがいたるところで廉価で販売されています。産卵親魚を狙ってまき網で一網打尽にされたクロマグロ。処理がよくないため、残念ながら非常に品質のよろしくないものが少ないありません。
 
 このようにまき網が大量に漁獲している一方、沿岸の零細漁業者は公平性を欠いた漁獲枠の配分に途方に暮れています。先日、沿岸漁業者には寝耳に水の形で30kg以上の漁獲枠が発表され、パブコメの期間も2週間程度と極めて少ないうちに、言わば彼らの頭ごなしで決められてしまいました。これに対する沿岸漁業者の強い憤りと不満は当然と言えます。

 クロマグロは国際的には「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」で管理されていますが、日本のクロマグロ管理に対するあまりに後ろ向きな姿勢に対して2016年の年次会合では加盟各国からの批判が集中、日本はまさに非難の十字砲火を浴びることとなりました。私はいろいろな国際会議に出たことがありますが、あんなものすごい状態に遭遇したことはまずありません。
 
 その2016年の会議で日本側は「段階的な規制しか受け入れられないのは、日本には2万人以上の小規模漁業者や定置漁業者がいるからだ」と熱弁を振るって反駁していたのですが*、いざ規制をかけようとすると、沿岸は漁業をやめて下さい、廃業してくださいと言わんばかりの態度は、国際的に言っていることと国内でやることが違うではないですか、と思ってしまいます。

* WCPFC第13回年次会議報告書(会議議事録)、65頁にそのくだりがあります。
 
 大中まき網漁業には1年間で3,000トンもとることができるのに*、7月からはじまる漁期に沿岸漁業者に対して割り当てられた枠はたった1,174トン、まき網の3分の1です。

* 前年小型魚から大型魚に振り替えられた250トンを含む。

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【大型クロマグロの漁獲枠配分。水産庁「太平洋クロマグロの資源状況と管理の方向性について」(2018年3月)、17頁。

 WPCFCでの国際的な合意では、大型魚は漁獲を2002~04年水準に抑制するとなっており、基準年は上記3年が使われているのですが、今回の配分はなぜだかまき網の漁獲枠配分が上記基準年より有利になる2015年と16年の平均が基準として用いられてしまいました。この結果、2002~04年のまき網以外の大型クロマグロの漁獲比率は36%であったところ、これが32%へとさらに減る事態に。

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【大型クロマグロ(30kg以上)の2002-04年漁獲量平均と、今回導入された大型クロマグロ漁獲枠。まき網の比率が高くなっていることがわかる。水産庁「太平洋クロマグロの資源状況と管理の方向性について」(2017年8月)、48頁のデータをもとに作図。】

 こうした沿岸漁業者に対する著しく不公平な配分と日本の主なまき網団体*にはすべて水産庁のOBが再就職されていることとは、何の関係もないと強く信じたいところです。

 * ここに言う「主なまき網団体」とは「全国まき網漁業協会(全まき)」、「北部太平洋まき網漁業協同組合連合会(北まき)」、「日本遠洋旋網漁業協同組合(遠まき)」、及び「海外まき網漁業協会(海まき)」のことを指します。「全国まき網漁業協会」常勤役員規定第3条によると、同協会の常勤役員の年俸は1千万円です。前任の水産庁OBは2004年9月30日から2016年12月13日まで約12年在籍されたので、退職金を別として計約1億2千万円の給与を在任中に受け取ったことになります。したがって2016年の沿岸漁家の平均漁労所得が235万円(農水省統計より)であることを所与とすると、全国まき網漁業協会の理事を12年間務た水産庁OBの同協会からの給与所得は、沿岸漁家の生涯年収分(20~70歳の50年間を働いたと仮定した場合)と同じことになります。

 そもそもWCPFCでは条約第五条「保存及び管理の原則及び措置」の(h)において、「零細漁業者及び自給のための漁業者の利益を考慮に入れること」を加盟国に要求しています。
 また、日本のその策定に中心的役割を果たした国連食糧農業機関(FAO)「責任ある漁業のための行動規範」では、「生存漁業、小規模漁業及び沿岸小規模漁業を含む漁業者の利益が考慮されること」(7.2.2)、「伝統的な漁業慣行、生計を漁業資源に深く依存している原住民及び漁業共同体の必要性並びに関心に適切な認識が払われるべき」こと(7.6.6)が定められています。今回の漁獲配分は、上記の考え方に背くものと考えられます。

 太平洋クロマグロの管理は前途多難ですが、地中海などを回遊する大西洋クロマグロは厳しい規制を導入、資源は現在大きく増加していると考えられています。資源管理の成功例です。

 では、そんな「成功事例」では漁獲枠の削減はどのように行われたか。以下のグラフからも明らかなように、最も厳しい削減の対象とされたのは大規模漁業であるまき網でした。

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【大西洋クロマグロの東大西洋および地中海における漁法別漁獲量と漁獲枠(TAC)。ICCAT, “REPORT for biannual period, 2016-2017 PART I (2017), Vol. 2, English version SCRS,”p. 102.

 以下は漁獲量がピークに達した2007年と、厳しい漁獲規制の導入に伴い漁獲量が最も少なかった2011年の漁獲量と比率をあらわしたものです。まき網は48,994トンの漁獲が4,306トンへの9割減、漁法に占めるシェアも80%から44%へとほぼ半減です。

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【東部大西洋・地中海における大西洋クロマグロの漁法別漁獲量。ICCAT, “REPORT for biannual period, 2016-2017 PART I (2017), Vol. 2, English version SCRS,”p. 98.のデータをもとに作図。】

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【東部大西洋・地中海における大西洋クロマグロの漁法別の漁獲比率。ICCAT, “REPORT for biannual period, 2016-2017 PART I (2017), Vol. 2, English version SCRS,”p. 98.のデータをもとに作図。】

 これに比べて、まき網漁業以外の漁獲量は、12,006トンから5,468トンに減ったものの、減少はマイナス54%と約半減にとどまり、2011年のシェアは56%と大幅に増加しています。これまで一番クロマグロを漁獲し、したがって一番責任が重く、かつ大規模漁業者であるまき網に対して大きな負担を要求したのは、FAO行動規範に照らしても当然のことでした。

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【太平洋クロマグロの漁法別漁獲量と産卵親魚資源量。単位:トン】

 ひるがえって日本ではどうでしょうか。以下は漁法別での漁獲量と親魚資源量、それから過去の総漁獲量の漁法別での比率です。まき網の累積漁獲量は5割を超えており、最も漁獲した以上、資源減少の一義的責任を当然負うべきでしょう。

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【太平洋クロマグロの漁法別漁獲割合】


 大型魚については、その第一段階として、現在行われている産卵親魚のまき網漁業の即時停止が望まれます。昨日のブログ記事で示した通り、現在のような資源状態で産卵親魚を大量に漁獲することは、資源の回復を著しく遅らせる可能性を排除できません。

 北太平洋のマグロに関しては、「北太平洋まぐろ類国際科学小委員会(ISC)」というグループが国際的な資源評価を行っています。しかしISCでは産卵期のまき網でのクロマグロ漁獲が資源にどのような影響を与えるかについて、まだアセスメントをしたことがありません前ISC議長のジェラルド・ディナードさんの発言。森聡之さんFB・20186月1日付)。ISCは水産庁の外郭団体である水産研究・教育機構のプレゼンスが非常に大きいのですが、そのことがアセスメントをしないでいることとは全く関係がないことを強く信じたいところです。

 アセスメントが存在しない場合はどうすればよいのか。それについて「予防原則」もしくは「予防的アプローチ」の考え方に即すべきと考えます。これは、「十分な科学的情報がないことをもって、保存管理措置をとることを延期する理由とし、又はとらないこととする理由としてはならない」(WCPFC条約第六条二項)を意味し、1992年の地球サミットで採択された「環境と開発に関するリオ宣言」、FAO責任ある漁業のための行動規範、国連公海漁業協定などにも明文規定されており、環境や資源管理に関するグローバルな基準です。

 産卵親魚の大量漁獲に関しては「十分な科学的情報がない」以上、このことをもって漁獲の暫定停止という「保存管理措置をとることを延期する理由とし、又はとらないこととする理由としてはならない」ことは、WCPFC条約の趣旨に合致するものと考えられます。

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 上図は2015年時点での漁港別の水揚量と価格です。ここからも明らかなように、一本釣りの大間のマグロは6,000円を超えているのに、境港は1200円台と全く値段が異なります。

 6月11日に衆院議員会館で開催されたクロマグロ緊急フォーラムでは、学習院大学の阪口功先生より、現行規制の問題点などについて講演が行われました。この場で阪口先生より、大型クロマグロのまき網とそれ以外の漁法に対する漁獲配分について、水産庁提示案、均等配分案、水産庁提示案逆比率案のそれぞれで、期待水揚げ額はどのようになるかが報告されました。これにまき網を漁獲停止にした場合の案をつけたものが下図です。

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【成魚漁獲の配分と総水揚げ額(単位:百万円)。阪口功(2018年6月11日)「日本におけるクロマグロ漁獲規制の問題点」(緊急フォーラム「クロマグロ漁獲規制の問題点」配布資料)39頁より作図。配分は留保前の水産庁案(大中まき網3,098トン、その他1,489トン)を使用し、大中まき網の築地中値平均764円、その他の築地中値平均を4,391円として計算(データソース:みなと新聞(時事水産情報))】

 まき網に倍以上の枠がある水産庁案ですら、まき網の期待水揚げ額は相対的に少なく、まき網への配分が少なければ少ないほど、経済的にも大きな水揚げ額が期待でき、まき網への配分がゼロの場合、期待水揚げ額は現行規制案の2倍となることがわかります。以上から鑑み、まき網の漁獲暫定停止は経済的合理性にも即したものであると考えられます。


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「クロマグロ産卵親魚をいくら獲りまくっても大丈夫」なのか:専門家の見解 [マグロ]

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【2018年6月11日に衆院議員会館で開催されたクロマグロ緊急フォーラムの模様】

 先日のブログでは、クロマグロ漁獲規制に関する沿岸漁業者緊急フォーラムについて書きました。

 沿岸の漁業者の皆さんの一致した意見は、「我々にばかり重い負担を負わせる一方、資源に深刻なダメージを与えている筈の産卵期(ちょうど今頃です)のまき網漁獲はなぜ規制が緩いのだ」というものでした。

 これに対して水産庁は「親が減っても子供の数(加入)とは関係がない。ゆえに産卵期の親を取っても資源に問題はない」と頑なにまき網漁業者を擁護し続けました。ちなみにそのことと日本の主なまき網団体*にはすべて水産庁のOBが再就職されていることとは、何の関係もないと強く信じたいところです。

* ここに言う「主なまき網団体」とは「全国まき網漁業協会(全まき)」、「北部太平洋まき網漁業協同組合連合会(北まき)」、「日本遠洋旋網漁業協同組合(遠まき)」、及び「海外まき網漁業協会(海まき)」のことを指します。なお、まったくの余談ですが「全国まき網漁業協会」常勤役員規定第3条によると、常勤役員の年俸は1千万円です。前任の専務理事の元水産庁研究部資源課長の方は2004年9月30日から2016年12月13日まで約12年在籍されたので、退職金を別として計約1億2千万円の給与を在任中に受け取ったことになります。農林水産省統計による沿岸漁家の2016年の平均漁労所得は235万円ですので、全まき役員12年間で得られた水産庁OBの収入は、沿岸漁家漁労所得の51年分に相当することになります(2016年平均を所与とした場合)。言わば沿岸の漁師さんの一生分の収入(20~70歳の50年間を働いたと仮定した場合)は、水産庁を退職した後まき網団体に再就職した水産庁OBの12年間の給与所得のみで得られた収入と同じという計算なります。なかなか儲かるお仕事のようです。


 では、専門家は「産卵期の親魚漁獲」をどのように見ているでしょうか。

 まず大西洋・地中海のマグロ類を管理する「大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT)」事務局次長を歴任された、三宅眞博士のコメント。

「本来、最も効果的な対策は、産卵期・場を禁漁にすることです。科学者はこれを最初から唱えてきています」

「過剰な漁獲能力の削減急務:水産総合研究センター遠洋水産研究所客員研究員・三宅眞氏に聞く」『OPRTニューズレター』No. 33(2009年1月)、2頁

 このコメントは東大西洋・地中海のクロマグロの乱獲が明るみとなり規制強化が強く叫ばれていた2009年のもので、三宅博士は「しかし、各国の思惑がからみ、科学者が禁漁期と禁漁区を設けるように勧告しても無視され、代わりに、割当量を減らすことで対応しようということになっております」と続けて発言されています。
 
 こうした漁獲国の手ぬるい姿勢に対して国際的な批判が強まり、西大西洋・地中海でのまき網操業は約11か月間禁漁されることになりました。これに関して「地中海ではむしろ産卵期にクロマグロを取っている」と水産庁は主張しています。しかしICCAT科学委員会議長は、巻網の解禁漁期を1か月に制限していることは「産卵期のうちの重要な時期を禁漁していることに相当する」とコメントしています*。

【*出典:ICCAT, “REPORT for biennial period, 2010 – 11 PART I (2010) – Vol. 1 English version: COM,” 2011, p. 266.


 規制の強化によって最も削られたのは、資源に対するインパクトが大きいまき網にすることは大西洋・地中海では自明の理でした。以下は西大西洋・地中海でのクロマグロ漁獲量を漁法別で示したICCATのグラフです。下図緑色の「purse seine(まき網)」が最も削減幅が大きいことがわかります。

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ICCAT, “REPORT for biannual period, 2016-2017 PART I (2017), Vol. 2, English version SCRS,”p. 102.

 次に、生態学・水産学がご専門の横浜国立大学教授・松田裕之先生の、今回のクロマグロ大型魚沿岸規制に関してのパブリックコメント

「クロマグロは産卵期に産卵場に密集する。ミナミマグロがIUCNが絶滅危惧種に指定した時、その反論の根拠に産卵期の漁業を禁止していることをあげた。産卵場での漁獲を許せば一層の資源枯渇は技術的に可能です
横浜国大 松田裕之公開書簡「クロマグロ漁獲枠配分のパブリックコメントへの意見」、2018年6月6日


 次に、北太平洋のマグロ資源の資源評価をしている「北太平洋まぐろ類国際科学小委員会(ISC)」議長のジョン・ホームズ博士。

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【ISC会合で説明するジョン・ホームズ博士(一番前で立っている男性)。2018年5月31日】

「そもそも、産卵期の産卵場所にその様な船(=巻き網漁船)が居る事自体、おかしな話だ。この資源量は我が国(カナダ)だったら即時禁漁となる数字だ」

【ISC太平洋クロマグロMSE(管理戦略評価)ワークショップで会議終了後、森聡之さんの質問に答えて。2018年5月31日・横浜。森聡之さんFB、2018年6月1日付記事。なおこの会議には私も出席し、森さんたちがホームズさん達と歓談する横にいました。ちなみにその後で一緒に歓談していた方に対して、「何か都合のいい答えを外人から聞こうとするのはおやめになってはいかがでしょうか」と水産庁系研究機関に属する研究者の方からメールがやってきたとのことです。独立した科学者に意見を聞くことで何か都合の悪いことでもあるのでしょうか。興味深い出来事です。】


 そして、前回のブログ記事でもアップしたとおり、水産研究・教育機構の国際水産資源研究所でこの問題を統括し、ISCでも日本をリードした中塚周哉・くろまぐろ資源グループ グループ長、石田行正・水産庁遠洋水産研究所元日本海区水産研究所所長、水産研究・教育機構 国際水産資源研究所・福田漠生研究員、秋田鉄也研究員の『Marine Policy』掲載論文。ここでは資源が30,000トン、初期資源量比約5%の時点で「親が減ると、子も減る」状態が起こると主張されていました。現段階で公開されている最新の資源評価では親魚量は16,557トンなので、これを下回っていることになります。したがって公開されている最新の資源評価(2016年公表)に基づき、かつ上記論文の結論が正しいと仮定するならば、現状では「親が減ると、子も減る」ということを水産研究・教育機構の国際水産資源研究所に所属する執筆研究者の方々は論文で力強く主張されています。水産庁系の研究機関に所属されながらも、役所の意見とは異なり、研究者としての立場を貫かれている姿勢には頭が下がる思いです。

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Nakatsuka, S., Ishida, Y., Fukuda, H., & Akita, T., “A limit reference point to prevent recruitment overfishing of Pacific bluefin tuna.” Marine Policy, 78(August 2017), 110. 横軸で示されている親魚資源量(SSB)が約3万トンまでは子供の数(加入:recruitment)と正比例関係にあることを示されており、これは論文の結果が正しいと仮定すると、親魚資源量が3万トンを下回ると子の数が減ることを示している】


 以上から鑑みても、この問題を専門とする大多数の科学者は「クロマグロのような一度に卵をたくさん産むような資源であったとしても、資源が激減した状態になると、親が減ると当然子も減る」ということで概ね意見の一致を見ているように思われます。親が減ると子が減るのは一般常識としても極めて当然で、こうした一般常識や科学者の見解を真っ向から否定するのは、役所の一部とこのマグロを漁獲している大中規模まき網業界、及びそれらに繋がる方面のみと言えるのかもしれません。

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【太平洋クロマグロの産卵親魚資源量と加入量。ISC, "2016 Pacific Bluefin Tuna Stock Assessment: Report of the Pacific Bluefin Tuna Working Group," July 2016, p. 79.のデータをもとに作図】

 ちなみに上図が太平洋クロマグロの産卵親魚資源量と加入量のデータをもとに作図したものです。この図一つからして、親魚の数と小魚の数は全く関係なく動いているとは到底断言し得ないように思えますが。私には難しいことは全くよくわかりませんが、なんで「親の数と子供の数は関係ない」といつまでも言い張り続けられるのか、もし常にそうであるとするならば、私にはむしろそのことのほうが専門の一つである政治学的な観点からも興味深く思うところです。


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クロマグロ緊急フォーラム(衆院第二議員会館)報告 [マグロ]

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【緊急フォーラム「クロマグロ漁獲規制の問題点」の模様】

 6月11日、衆院第二議員会館で緊急フォーラム「クロマグロ漁獲規制の問題点」が開催されました。大規模まき網漁業ばかりが優遇され、このままでは生活が立ち行かないと沿岸クロマグロ漁業者の方々が僅かな告知日時しかなかったにもかかわらず200人以上が参加したとのことです(みなと新聞2018年6月13日)。私も授業が終わったのち駆けつけました。

 フォーラムでは学習院大学教授の阪口功先生が現状のクロマグロ規制の問題点に関して基調講演。水産庁はこれまで「親の数と子の数に相関関係はない」「したがって現状でも産卵期の親魚を取っても資源に悪影響はない」と、一般人が常識的に考えても珍妙な説を唱え続けてきたのですが、これが誤っているということが阪口教授から論理立てて説明が加えられました。

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【緊急フォーラムでの阪口教授の発表の模様】

 親がゼロになれば産まれる子供の数はゼロになるため、どのような資源であってもある一定の一線を下回ると「親が減ると、子も減る」という関係が出てきます。これに関しては、水産研究・教育機構の国際水産資源研究所でこの問題を統括する中塚周哉・くろまぐろ資源グループ グループ長が学術雑誌『Marine Policy』に、その関係がでてくるのは親魚資源(Spawning Stock Biomass: SSB)が30,000トンの時点、初期資源量比5%の時点ではないかとの論文を発表されています。

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Nakatsuka, S., Ishida, Y., Fukuda, H., & Akita, T., “A limit reference point to prevent recruitment overfishing of Pacific bluefin tuna.” Marine Policy, 78(August 2017), 110. 横軸で示されている親魚資源量(SSB)が約3万トンまでは子供の数(加入:recruitment)と正比例関係にあることを示されており、これは論文の結果が正しいと仮定すると、親魚資源量が3万トンを下回ると子の数が減ることを示している】

 現在オープンになっている最新の資源評価である2014年時点の親魚資源量は17,000トン、初期資源量比2.6%ですから、これを下回っており、したがってこの論文での結論を所与と仮定すると、最新の資源評価の現状では「親が減ると、子も減る」ということになります。

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水産庁(2017年8月)「太平洋クロマグロの資源状況と 管理の方向性について」より。2014年段階の親魚資源量推定値が約17,000トンで、初期資源量比2.6%であると示されている】

 クロマグロ資源の国際管理は「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」で行われていますが、中塚さんは同委員会が管轄する領域の北太平洋部分についての科学アセスメントを実施している「北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)」でも日本側を代表して会議に参加されていらっしゃいます。『Marine Policy』のこの論文を阪口教授は引用され、したがって日本政府を代表してWCPFCの会議に参加している科学者も、現段階では「親が減ると、子も減る状態にある」ことを論文として発表していることを力説されました。

 ということは、「親が減っても、子は減らない」と言い張っているのは、行政官のみであり、科学者は一致して「現段階では親が減ると、子も減る」と主張していることになります。ある意味でこれは当然の結論ではありますが。

 ちなみに現在ISCでは産卵期のまき網の漁獲をなくせば、資源にどのような影響がでるかのアセスメントを行っていません。このことはこの5月30~31日にISCが横浜で開催したクロマグロに関する科学会合に出席していた外国科学者からもその旨お聞き確認しました。「証拠がないから親をいくら取ってもよい」と天下り先でもあるまき網ばかりを擁護する態度、それはあまり科学的ではないようにも思われます。
 
 残念だったのは、外国人科学者にまき網のインパクトに関するISCのアセスメントが行われていないといった聞き取りをすると、「何か都合のいい答えを外人から聞こうとするのはおやめになってはいかがでしょうか」とびっくりするようなことを言って抑制しようとする一部の政府系研究機関に属する御用研究者の方がいたと伺ったこと。上述の論文で『親が減ると、子は減る』と科学的に真摯な立場を貫かれているのとは対照的なことでした。残念でなりません。 

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マグロ類消費世界一の責任-国際資源管理と日本の政策(『グローバルネット』寄稿) [マグロ]

 今回は地球・環境人間フォーラム発行の『グローバルネット』第324号(2017年11月)に寄稿しました日本のカツオとマグロに関する外交に関するエッセイを転載します。
 なお、掲載された原稿をPDF化したものをこの記事の最後にあるリンク先からダウンロードできるようにしました。

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【中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)第13回年次会合(2016年12月)の模様。筆者撮影】

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毎日新聞の太平洋クロマグロの記事・補足:境港での巻網の水揚量 [マグロ]

毎日新聞井田純記者によるクロマグロ特集記事「クロマグロなぜ絶滅危機 まき網で幼魚乱獲、政府の規制後手」(2017年5月18日付)のなかで「この背景について、水産庁時代に捕鯨やマグロ漁業などの交渉にあたった東京財団上席研究員の小松正之さんが解説する。「水産庁が日本近海での実効ある資源管理制度を導入できず、大中型まき網漁船がイワシやアジ、サバを取りつくしてしまったことが原因です」。取るものがなくなったまき網船や沿岸の小型漁船が小型クロマグロを取るようになった、というのだ」との記述があります。

そこで、クロマグロ巻網水揚量が日本で一番多い境港での他の魚種の水揚量をグラフにしてみました。
境港におけるまき網年別魚種別水揚量.jpg
出典は鳥取県の以下のHPです。
http://www.pref.tottori.lg.jp/87005.htm
【鳥取県「境港の年別まき網水揚量 」】

とりわけマサバ、ウルメ、カタクチ、マイワシが1990年代以降漁獲量が激減していることをデータが示しています。

こうしたなか、2004年より境港でのクロマグロの水揚量が急増してゆきます。
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http://www.sakaiminato.net/site2/page/suisan/conents/report/maguro/
【境港市水産課「境港におけるクロマグロの水揚状況について(まき網)」】

図中にある「平均体重」とは、単に水揚量を水揚げ尾数で割ったものです。
境港市水産課の上記HPでは、以前は水揚げ尾数を公表していましたが、2015年分以降このデータを公表しなくなりました。したがって図中にある平均体重は以前同HPに掲載されていたデータを用いています。

毎日新聞の太平洋クロマグロの記事とまき網クロマグロの初水揚げ [マグロ]

毎日新聞井田純記者によるクロマグロ特集記事。私も少し登場します。
なお、みなと新聞2017年5月19日付報道によると、巻網によるクロマグロの今年初の水揚げが塩釜市場でありました。水揚げしたのは八丈島の東沖周辺で操業していた株式会社福島漁業の第八十八惣寶丸で、入港前の予定水揚数量は約110トンとのことです。関係者筋情報によると、この後も塩釜と銚子で水揚げが続くとのことです。

https://mainichi.jp/articles/20170518/dde/012/020/004000c
【毎日新聞2017年5月18日付「クロマグロなぜ絶滅危機 まき網で幼魚乱獲、政府の規制後手(特集ワイド)」】

「高級すし食材として珍重される太平洋クロマグロ。日本に割り当てられた幼魚(30キロ未満)の漁獲枠を超えたと大きく報道された。絶滅の恐れがあるのに、なぜ国際的な約束を守れないのか。その背景を探った。【井田純】
 国際機関で定めた日本の幼魚の漁獲枠は今年6月末までの1年間で4007トンだったが、2カ月を残した段階で超過した。
 体重30キロのクロマグロはだいたい3歳魚にあたる。この段階で産卵可能な成魚の割合は約2割で、人間なら大人になる手前だ。4歳魚で産卵可能なのは半分程度、5歳魚で100%となる。5歳魚で体重100キロ前後となり、その後300キロ以上に成長する。幼魚を乱獲すれば絶滅の道をたどるのは自明だが、北太平洋マグロ類国際科学委員会(ISC)の統計では、今の漁獲は98%(匹数ベース)を0~2歳魚が占める。
 この背景について、水産庁時代に捕鯨やマグロ漁業などの交渉にあたった東京財団上席研究員の小松正之さんが解説する。「水産庁が日本近海での実効ある資源管理制度を導入できず、大中型まき網漁船がイワシやアジ、サバを取りつくしてしまったことが原因です」。取るものがなくなったまき網船や沿岸の小型漁船が小型クロマグロを取るようになった、というのだ。日本海で生まれたクロマグロは、成長して太平洋を横断する前の0~1歳の間、日本近海にとどまる。この成長する前の段階で取られているわけだ。  「沿岸の漁獲枠は地域ごとで、漁業者別に割り振られていないため、早く多く取ったもの勝ちになる。また、現在の制度には法的強制力がないので、規制に反した操業や無報告操業も各地で頻発しています」と話すのは、国際漁業交渉に詳しい早稲田大地域・地域間研究機構客員講師の真田康弘さん。最新データでは、産卵可能な親魚の資源量は漁業がなかった場合の推定値にあたる「初期資源量」の2・6%に減少している。
 ISCの分析によると、資源に対する悪影響が大きい漁法がまき網漁。現在、生鮮クロマグロの水揚げが最も多いのは鳥取県境港市の境漁港だが、1000トン超の水揚げが続くようになったのは2004年以降だ。魚群探知機を含む漁業の技術革新で、まき網で文字通り「一網打尽」にすることができるようになったためといわれている。真田さんも、日本海のまき網漁の拡大の影響を指摘し「特に6~7月の産卵期の漁は資源的なダメージも大きい」と話す。
 漁獲枠は、日本も加盟する国際漁業管理機関「中西部太平洋マグロ類委員会(WCPFC)」で設定された。マグロ類の中でもクロマグロは全世界のマグロ類(カツオを含む)の水揚げの1%程度に過ぎない。国際自然保護連合(IUCN)は14年11月に太平洋クロマグロを「絶滅危惧」に分類している。
 マグロ類の日本での漁獲量(13年)は17・2万トンで、このうち太平洋クロマグロは0・7万トン。消費者の人気が高いのは、比較的北の海域を回遊し、脂がのっているため。他に南半球に生息するミナミマグロや、日本周辺に生息するビンナガマグロ、メバチマグロなどが消費されている。
 水産庁はこれまで、国際社会が求める、より厳しい漁獲規制に対して「現行規制で十分」と一貫して消極的な考えを示してきた。ところが、違法操業の発覚が相次ぎ、漁獲枠も守れない事態となり、来年1月から罰則付き制度の導入を決めた。だが、具体的な実施計画策定はこれからで、どこまで資源管理に実効性のある取り組みができるかは不透明だ。
 一方、「禁漁」の必要性に言及しているのは今や海外の環境保護団体ばかりではない。今年3月、全国沿岸漁民連絡協議会が会合を開き、産卵期のまき網漁獲禁止と国による漁獲モニタリング制度の確立などを求めるアピールを採択した。
 会合に出席した漁業者の高松幸彦さん(61)=北海道羽幌町=は「北の漁民の間では、資源が回復するなら思い切った禁漁措置に協力したいという声は多い」と話す。40年以上クロマグロ漁を続けてきた高松さんは「持続的なマグロ漁を考える会」代表を務める。漁場とする北海道西部の本格的漁期は9~10月だが、日本海でのまき網漁が盛んになった近年は不漁続きという。「我々沿岸の漁師と、まき網漁を同じに考えるのは無理があります」
 前出の真田さんも指摘する。「漁獲規制は、期間を限ってでも思い切ってやる方が資源回復の効果が大きい。中途半端な規制をだらだら続けると、資源も戻らず、漁業者への経済的影響も長引くことになります」  では、養殖で何とかならないのか。現在の漁獲の7割を占める0歳魚の中には養殖に回されるものも多いが、「養殖で問題は解決しません」と話すのは世界自然保護基金(WWF)ジャパンの山内愛子さん。大西洋クロマグロや豪州のミナミマグロの場合、取って育てる技術が進んだことが逆に小型魚の需要を高め、資源悪化につながった経緯があるという。そのまま水揚げされる場合、取りすぎれば価格が下がるが、養殖では施設にためておけるので漁獲抑制のメカニズムが働きにくい。
 水産行政はクロマグロの資源管理にどう取り組むべきか。世界の漁業管理を視察してきた前出の小松さんは「初期資源の2%程度になった資源は禁漁というのが世界の常識。禁漁措置に踏み切る場合、漁民には休漁補償だけでなく『収益納付』の形を取るべきです」と話す。どういうシステムだろうか。「データに基づき、3年なり5年なり漁をやめることで、最低資源ラインの10%まで回復させるシナリオを科学的に提示する。漁が再開できるようになって利益が出れば補償金を返納してもらうプログラムです」
 禁漁したら、一般消費者の食卓に影響が及ぶのではないか。「比較的安定しているキハダマグロや、管理に成功した大西洋クロマグロを食べればいい。築地市場の卸・仲卸業者も消費者も日本近海のクロマグロを買わない選択をすべきです」と小松さん。
 日本列島では古くからマグロが食べられてきた。宮城県気仙沼市では、約5500年前~3000年前の縄文時代の遺跡が発見され、国内最多規模という約1万片のマグロの骨が出土している。解体時の石器が刺さった状態のものもみつかっており、縄文人もマグロ食に親しんでいた様子をうかがわせる。
 この食文化を未来に伝えていくには、有限の資源を消費しているという認識が必要な時期なのかもしれない。一切れのマグロが口に入るまでに、自然環境への負荷がどれほどかかっているのか改めて考えたい。」
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【境港に水揚げの巻網で漁獲されたクロマグロ】

クロマグロの国際的管理:WCPFCとICCATの比較 [マグロ]

太平洋クロマグロの国際的管理は「中西部太平洋まぐろ類委員会(Western and Central Pacific Fisheries Commission: WCPFC)」等で行われています。大西洋については「大西洋まぐろ類保存国際委員会(International Commission for the Conservation of Atlantic Tunas: ICCAT)」という別の委員会があり、この委員会は大西洋クロマグロを管理しています。
以下の表が、WCPFCでの太平洋クロマグロの規制とICCATでの大西洋クロマグロの規制を比較したものです。

WCPFCとICCAT・クロマグロ規制.jpg

まず目標については
 WCPFC: 2024年までの10年間で60%の確率で「歴史的中間値(初期資源量比7%相当)」に回復
 ICCAT: 2007年から2024年までの15年間で60%の確率でBMSYに回復。
です。

BMSYという言葉は、国立研究開発法人水産研究・教育機構「国際漁業資源の現況」の用語解説での定義を用いると「資源変動のあるなかである特定の管理方策(一定漁獲死亡率(漁獲率)あるいは、一定率の取り残し等)で長期的に実現可能な最大の漁獲量の平均を達成可能な資源量」を意味します。
この水準に達しているなら資源は健全で水産資源の持続的利用にとって望ましいとして国際的に広く用いられている水準です。
MSY.gif
同じく同機構の用語解説にある図表が上記のものです。この図では、BMSYの水準は資源が元あった水準の概ね半分程度としてイメージされています(BMSYの水準は個々の資源によって異なります)。上記の詳細については、出典元である以下のサイトをご覧ください。
http://kokushi.fra.go.jp/index-1b.html
【水産教育・研究機構「国際漁業資源の現況・用語解説」】

漁獲量制限については
 WCPFC: 30kg未満の小型魚を2002-04年水準で半減。30kg以上の魚の漁獲量は2002-04年水準に制限。
 IATTC: 30kg未満小型魚は原則漁獲禁止。30kg以上の魚については、2007年32,000t(公式統計。ICCAT科学委員会は実漁獲約61,000tと推定)から最大12,900t (2011-13)へ削減。
となっています。
なお、地中海の沿岸零細漁業者に対しては、これら零細漁業者保護のため、30kgを下回っていても、8kg以上であれば漁獲が可能となっています。
大西洋クロマグロ 東部大西洋・地中海での漁獲量.jpg
https://www.iccat.int/Documents/Meetings/Docs/2014_BFT_ASSESS-ENG.pdf
【ICCAT, "REPORT OF THE 2014 ATLANTIC BLUEFIN TUNA STOCK ASSESSMENT SESSION (Madrid, Spain – September 22 to 27, 2014)"】

上記のグラフは、東大西洋・地中海での大西洋クロマグロの漁獲量と漁獲枠の図です。ATEは東部大西洋海域(Atlantic)、MEDは地中海(Mediterranean)での漁獲量、赤線で示されている「TAC」は漁獲枠(total allowable catch)を示しています。
Unreported estimatesは、未報告分としてこれぐらい漁獲されていたであろうと推定されている漁獲量です。この未報告分を含めると、最高で60,000トン程度が漁獲されていたと考えられています。

再びWCPFCとICCATの比較ですが、巻き網の漁期規制については
 WCPFC: 規定なし
 ICCAT: 5月26日から6月24日を漁期指定(=約11か月間の禁漁)
延縄の漁期規制については
 WCPFC: 規定なし
 ICCAT: 公海はえ縄(24m以上)につき1月1日から5月31日まで漁期指定(=7か月間禁漁)
となっています。

漁獲能力制限については
 WCPFC: 2002-04水準に制限
 ICCAT: 漁船数及び総トン数を2007年1月1日から2008年7月1日の間の基準で制限し、かつ、漁獲能力を漁獲枠に見合ったものに削減。
となっています。

ICCATではこうした規制の導入により、資源は回復に向かっていると考えられています。
以下のグラフは、大西洋クロマグロの推定産卵親魚資源量(spawning stock biomass: SSB)です。
産卵親漁量(単位:トン).jpg
【ICCAT, "REPORT OF THE 2014 ATLANTIC BLUEFIN TUNA STOCK ASSESSMENT SESSION (Madrid, Spain – September 22 to 27, 2014)"】

この結果、12,900トンまで減らされた漁獲枠(TAC)は、2017年には23,155トンまで徐々に増やされることがICCATで合意されています。
ICCATクロマグロTAC.jpg

なお、現行のICCAT規制措置(2014年採択。2015年8月2日効力発生)の詳細については、以下をご覧ください。
https://www.iccat.int/Documents/Recs/compendiopdf-e/2014-04-e.pdf
【ICCAT Recommendation 14-04: RECOMMENDATION BY ICCAT AMENDING THE RECOMMENDATION 13-07 BY ICCAT TO ESTABLISH A MULTI-ANNUAL RECOVERY PLAN FOR BLUEFIN TUNA IN THE EASTERN ATLANTIC AND MEDITERRANEAN】

生鮮クロマグロの値段と境港の企業別巻網水揚量 [マグロ]

生クロマグロの水揚漁港別(10トン以上の水揚げ量があった漁港に限る)の水揚量・価格(2015年)のグラフをつくってみました。一本釣りの大間などとまき網で漁獲されたものが水揚される境港や塩釜では最大で4~5倍の開きがあることがわかります。
クロマグロ水揚価格2015・漁港別.jpg
このデータは「漁業情報サービスセンター」HPより誰でも簡単にアクセスできます。
http://www.market.jafic.or.jp/suisan/
【漁業情報サービスセンターHP「水産物流通調査」】

巻網によるクロマグロの最大の水揚港は境港ですが、どの企業がこの年(2015年)に水揚げしたかを示したものが以下のグラフになります。データの出典は境港市水産課HPですが、直近(2016年)については同HPでの公表を取りやめてしまっています。

http://www.sakaiminato.net/suisan/
【境港市水産課HP「水産王国 境漁港(鳥取県境港市)」】

2015境港巻網漁獲量.jpg

以下の写真は境港に水揚げされたクロマグロです。白いラベルに書かれている数字は重量(キログラム)を表しています。

IMG_8550.JPG

こうした巻網で夏季に大量に漁獲されたクロマグロが、夏場のスーパーで「境港産」「鳥取産」として安価に出回ることになります。

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太平洋クロマグロが誰が捕ってきたのか [マグロ]

 資源量が初期資源量(漁獲がないと仮定した場合の資源量)比2.6%にまで減少しIUCNで絶滅危惧種指定されている太平洋クロマグロに関して、漁獲枠の削減が実施されていますが、この削減分を誰に配分すべきかについて漁業者や行政官、政策決定者、及び専門家の間で現在種々議論が起こっており、先月も東京で国内外の関係者を交えた国際会議が開かれました。
 枠の削減を引き受ける必要があるのは、それを引き起こした当事者であり、それぞれはその責任の割合に応じて削減分を負担するというのが一つの参照軸となり得ると思われます。
 そこで漁法別での漁獲量と親魚資源量、それから過去の総漁獲量の漁法別での比率をグラフにしてみました。



太平洋クロマグロ漁法別漁獲量.jpg
太平洋クロマグロ漁法別累積総漁獲量.jpg

https://www.facebook.com/yasuhiro.sanada.7/posts/1233175316795213

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