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今年漁期の稚ウナギ(シラスウナギ)採捕実績 [ウナギ]

 来週の7月16日(月)からジュネーブでワシントン条約動物委員会が開催されます。ウナギについても検討が加えられる予定です。

 ウナギは現在のところ、完全な養殖はできません。「シラスウナギ」と呼ばれる稚魚のウナギを捕まえてきて、これを養殖池に入れることになります。
 このシラスウナギの不漁が今年広く報道されました。最終的にどうなったかについて以下グラフにしてまとめてみました。今漁期に100kg以上の採捕量があった都道府県を抽出したものです。

シラス採捕量2018rev.jpg

* 小数点以下四捨五入
* 千葉県は採捕上限を定めていない。
* 採捕量は『日本養殖新聞』2018年6月15日付「〈保存版〉2018年国内外シラスウナギ池入れデータ」参照。
* 採捕上限についての出典は以下の通り。千葉県・茨城県・神奈川県・三重県・徳島県:県担当者からの聞き取り。静岡県:みなと新聞2018年2月2日。愛知県:みなと新聞2018年3月30日。高知県:日本経済新聞2018年2月28日。宮崎県:みなと新聞2018年4月2日。鹿児島県:みなと新聞2018年4月9日。

 上記グラフからもわかるように、いずれの県でも採捕量は前年を下回り、特に神奈川、愛知、三重、徳島、高知、宮崎、鹿児島で大幅に落ち込んでいることがわかります。
 今年漁期の始まり(2017年終り~2018年初め)、シラスウナギは大不漁に見舞われましたが、それを何とか補ったのが漁期の終わり(2018年3~4月)の関東地方等東日本でまとまった採捕が見られたことです。しかし千葉県はそもそも採捕上限を設けておらず、茨城県や神奈川県の採捕上限も実際の採捕量からかけ離れたものが設定されていることが上記の表からも理解されます。これではせっかく遅れて回遊してきたシラスウナギをあるだけ捕ってしまうことに繋がりかねません。 

 以下はシラスウナギがどれだか養殖池に入れられたかを示したものです。ここからも、その量が年を追うごとに減っていっていることがわかります。

池入れ量.jpg

* 2003-2017年度の池入れ量は、水産庁「ニホンウナギ稚魚(シラスウナギ)の池入れ動向について」、2002年以前及び2018年度については、日本養殖新聞2018年6月15日付を参照。

 天然ウナギの漁獲量です。1961年に3,387トンだったものが、2015年にはわずか70トンに減少しています。

天然ウナギ漁獲量.jpg

* データ出典:e-Stat・ 政府統計の総合窓口「海面漁業生産統計調査」

 なお、ニホンウナギについては、その減少の度合いから鑑み、ワシントン条約附属書Ⅱの掲載基準を十分に満たすと考えられます。その理由については拙ブログ「ニホンウナギはワシントン条約の付属書掲載基準を満たすのか?」に書きましたので、ご関心がありましたらご覧ください。


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